物理法則は数学的な美しさを持つ
量子力学の発展に多大な足跡を遺したディラック博士の生涯について纏めた書。ディラック博士の「生涯と業績」について述べられたあと、ディラック博士の代表的業績であるといわれる「反物質の予見」および「単極子」について概説されていた。本書はディラック博士を偲ぶ記念講演より構成されており、難しい数式などはそれほど見られず、理論物理の専門家でない自分でも読了することができた。また本書では、ディラック博士の多くの手記が引用されており、その生涯における歓喜・苦悩などを垣間見ることができた。「物理法則は数学的な美しさを持たなくてはいけない」とし、ディラック方程式を開花させ、その後も美しい方程式を得ることにずっと関心を示してきたディラック博士の生き様は、「研究者としての心得」をも学ぶことが出来たのではないかと思う。
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